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「オステリア・ブーチョ」店名の意味

執筆者の写真: Emiko SugaEmiko Suga

更新日:2024年4月22日



「オステリア・ブーチョ 」ってどういう意味ですか?とよく聞かれます。

オステリアの語源は「ホスピタル」らへん(詳しくは聞かないでw)。イタリアは「H」の発音をしないので、「ホス」ではなく「オス」になります。ちなみに「HONDA」は「オンダ」「HOTEL」は「オテル」と読みます。んな事はどうでもいいですがw

ホスピタリティーとかホスピタルとか、もてなす、癒す人を指す言葉ですよね。

ジェラート屋さんはジェラテリア、ピッツア屋さんはピッツェリアと呼ぶように、お客様が滞在する場所がオステリアになります。

昔は食事付きの宿を指すようでしたが、現在はちょっと高級な店からカジュアルな店まで幅広くオステリアと呼ぶようですが、レストラン=リストランテよりも気軽に食事ができるお店にオステリアと名付けます。

「俺様の魂込めた料理を提供する場所」ではなく、来店してくれる人の心と身体を癒す場所でありたいという想いで、私のお店のカテゴリーを、オステリアと呼ぶことにしました。


ブーチョ については、元は「bucoブーコ=穴」です。「bucioブーチョ 」は一般的に方言になりますが、大抵のイタリア人は、笑うか押し黙るかのどちらかです。なぜなら、ブーチョ は「お尻の穴」という隠語だからです。もちろん辞書には乗っていませんし、イタリアに行って公衆の面前で大きな声で発声するべき言葉ではありません(笑)

「なぜそんな名前を付けたんだ?」と多くのイタリア人に聞かれましたが、「あなたは二度のこの日本のレストランの事を忘れないでしょ?イタリアに帰って、こんな名前の美味しいレストランがあったよって土産話ができるでしょ?」と言うと、皆さん「BRAVA!」と褒めてくれます。

単純に、イタリア修行時代に友人の口からこの音の響きを聞いたとき、なんて可愛らしいんだろうと思って、将来私が開くお店の名前候補に挙げていたのです。もちろんその意味は知っていましたが、日本人にはわかりっこないしw


もう一つ店名の候補にあったのが「Buon Mugnaiaブオンムンニャイア」。これは辞書を引くと「良い製粉業者」と出てくるかと思います。サーモンムニエルなどで使われる調理法、ムニエルのイタリア語がムンニャイアで、元は粉屋さんなんですね。小麦粉をつけて調理することからこう呼ばれるようになりました。

私の師匠はアブルッツォ州ペスカーラの出身で、彼女が生まれた地域では「ムンニャイア」と言う手打ちパスタがあり、この近辺では「ブオン・ムンニャイア」と言うと、お料理上手なマンマの事を指すのだと教わりました。なんて可愛らしい響きなんでしょう!しかも、お料理上手のマンマなんて、まさに私がやりたいお店の名前にぴったりです。


そして時は流れて2012年、自身のお店をオープンするにあたり、ふたつの候補のどちらを選ぶか迷うことになりました。

オステリアと名乗ることはすでに決めていましたから、「オステリア・ブオン・ムンニャイア」なのか、「オステリア・ブーチョ 」なのか、の二択です。

そう、単純に、呼びやすさで決まりました(笑)

(実はお店をオープンする前個人事業主でお料理教室をしていたときの屋号はブオンムンニャイアでした。今となっては幻の屋号ですw)


知り合うイタリア人のほぼ全員が2度聞きする名前ですから、もうその宣伝効果は抜群です。そして私に「いい名前を付けた!ブーチョ には、幸運を呼ぶって言う意味もあるんだよ」と教えてくれました。日本でも「ウンがつく」って言うように、陰極まれば陽となり得るのは、世界共通の様ですね。


2021年の東京オリンピックでは、フェンシングのイタリア代表選手から直接連絡があり、大会前の大分キャンプで専属料理人として任命され、スポーツマンにふさわしいシンプルなオオイタリアンの甲斐あってか?見事団体個人共にメダルを獲得することが出来ました。

コロナ禍で選手との接触は禁じられていましたが、キャンプ最終日最後の挨拶に顔を出した私に「BUCIO!BUCIO!BUCIO!」と、鳴り止まないブーチョコールを頂きました。これで運がつき、メダル獲得に繋がったと信じることにしています。


ま、お食事処の名前としてはどうかなとは思うので、普段は聞かれるまでは教えませんし、イタリアで私のお店の紹介をする時は、声をひそめるようにしています。









 
 
 

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